ルシード・ウィンタースプーンの備忘録

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{@st66b} 王国建国暦679年のある日
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最近テスラ様に会ってお話をする機会があった。テスラ様は、これまでに彫った様々な彫像たちが自身の歴史を証言し、思い出を呼び覚ます…そしてそのことによりこれから訪れる未来を受け入れる力が得られるとおっしゃった。すると私にもそういうものがあるか尋ねてきた。
私がないと答えると、テスラ様は一つ作ったほうがいいと助言してくださった。私はテスラ様と別れてじっくりと考えた後、世界で唯一私より年長者である人の忠告を聞くことにした。
それがこの備忘録という記録を残すに至った理由である。
{np}{@st66b} 王国建国暦700年のある日
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リムガウダスがゲリー高原に聖堂を建てながら私に意見を求めてきた。しかし私とて昔何度か見ただけの今はない聖殿の建築様式を覚えているわけがない。
リムガウダスはどうも私に過去へ遡れと言っているようだが、人に言えないような秘密を持つ建築物ならば過去の何かにすがるより完全に新しくしたほうが秘密を守るのに適していると助言するつもりだ。
まあそうは言ってもメイバーンの大聖堂が好きなようだから大幅に変わることはないだろう。とにかく7年後には完工予定ということだから、その時にでも祝ってやろうと思う。
{np}{@st66b} 王国建国暦749年のある日
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40年間この王国を統治していたソセル国王のお体が優れないようだ。私見だが、そのような状態でも2,3年はもつだろうがそれ以上は難しいと思われる。
750年の王国の歴史の中で最も優れた名君と評価されるであろう君主のもとで過ごせたことは、きっと私の生涯で良い思い出として残るだろう。
{np}{@st66b} 王国建国暦872年のある日
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50年間続いたネケル3世の治世もそろそろ終わりが見えてきた。記録を隈なく漁ったわけではないので確かではないが、これほど長く在位につき長生きした国王はおらず、おそらくこれからもいないだろう。
ソセル1世国王時代ほどの善政ではないが、その時代を覚えている人がほとんどいない今、周りの平凡な人々が王国史上最高の太平の御代と呼ぶのも無理はないと思う。
{np}{@st66b}王国建国暦876年のある日
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ふふ…オーウィン・ディルベンの奴、あんなに遠慮していたくせに結局先王の遺志を断り切れず王室ウィザードの地位を引き受けるとは…これから実に面白い時代になりそうだ。
{np}{@st66b} 王国建国暦879年のある日
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オーウィンが私のところに来て、いつまでそうやって世間から一歩下がって隠遁者のような生活を続けるのかと聞いてきた。おいおい、自分が王室に自由を奪われたからと言って私まで巻き込もうとするとは…少々困惑してしまった。{np}{@st66b} どれだけ頭を下げられたか…結局これまで私が成し遂げた成果物についての記録を一部王室に寄贈することにした。
まあ、その最初の寄贈物はこの備忘録になるだろう。いつになるかは分からないが…。
{np}{@st66b} 王国建国暦884年のある日
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魔法の中級者風を吹かす奴らが私の後ろでこそこそ話している内容により、現存する最強のウィザードが私なのか
そうでないかを議論していることを知る。
彼らが私のライバルと考える代表的な人物はオーウィン・ディルベンだ。彼は世間がよく言う魔法の第一人者であり、王室の首席ウィザードでもある。彼は私に比べほぼ百年も修業期間が短いにもかかわらず、私に匹敵する実力を持っていた。{np}{@st66b} しかし本当に生死をかけて二人きりの
決闘をしたら、まだ彼が私の相手ではないと確信する。殺されたり自ら死なない限り永遠に生き続ける、つまり魔法で時間を遅らせる我々の人生を考慮すると、彼がいつか全ての面において私を抜かすことは明らかだ。
ただ私の推測によるとそれはおそらくもう百年の時間を必要とするだろう。
もう一人のライバルと言われるネクロマンサーマスターで言えば、彼女は私が百年間修行をさぼったとしても私を超えることはできないだろう。
{np}{@st66b} 王国建国暦890年のある日
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いつだったかこの記録に書いた内容について補足しておこうと思う。ウィザード間の決闘について言及したが、オーウィン・ディルベンであれ私であれ他の誰かであれ、現時点ではアガイラ・フラリーを超える者はいない。これは単純に魔力の強さだけを意味しているのではない。{np}{@st66b} 彼女は溢れるような気迫を持っており、その視野はとてつもなく広い。我々のような後学の徒はただ彼女を敬うばかりだ。
世の中のことはよく知らないが、フラリーの器の大きさが窺い知れる代表的な事件が存在する。{np}{@st66b} 彼女は女神の切なる願いを守り抜くために
他の女神に自分の跡を継がせるという前代未聞の事件を起こした。
そしてある魔将の遠大かつ人間の脅威となる野望と計画を打ち砕くために契約を結んで彼を服従させた。
最後は結局魔将軍団を解体させ、女神のような超越的存在ではないただの人間としては歴史上初めて幻想図書館に入り、その進入事件を通じてギルティネの計画を打ち砕くという成果を収めた。{np}{@st66b} 善なる目的のために女神を
魔術師の塔に降臨させ、魔将を利用してついには魔神の計画すら揺るがすという成果を収めたウィザードということだけでも、彼女の偉大さが十分分かると思う。{np}{@st66b} いつかは全世界がそのことを知るだろう。
しかしこの出来事を抜きにしても、アガイラ・フラリーの名声の高さはとどまるところを知らないと言える。

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調査員ギャスパーを手伝って手に入れたルシード・ウィンタースプーンの備忘録。内容が所々抜けている。右クリックすると読むことができます。

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