目を覚ましたライマはしばらく気持ちを落ち着かせた。
気持ちが落ち着くと創造の神から与えられた神の体もまた落ち着いてきた。
不透明な運命の未来を見渡すのは簡単なことではなかった。そのような未来はまだ訪れていないし、またいつでも変われる弱いものだが、必ず訪れる。またそれが訪れた時は避けられない。{np} たとえ、女神とはいえ、創造の神が設定した宇宙の法則の中では自由ではなかった。むしろ女神はその法則の守護者、なおさらそれに縛られるだろう。
だが、ライマはまだ自分にできることがあると整理を急いだ。自分が見た予知によると時間が足りないわけではないが、相手が相手だけに油断はできなかった。{np} 絶壁から落ちる人間もその先のことは分かっている。ただ、避けられる方法がないだけだ。
しかし、冷静さを失うことでまた逃すことがあれば、その後悔もまた千年も続くだろう。ライマは冷静さと進み具合のバランスを失わないように努力した。{np} ついに自分の居所を離れる準備を終えたと決心したライマは長年暮らしていた自分の居場所を目に焼き付けた。
自分が見た未来が本当なら、そしてその予知は必ず起こらなければならないため、少なくとも千年は帰ってこない場所だった。
千年の懐かしい場所となるところをもう一度目に焼き付けようとした時悲しさに襲われた。しかし、ライマはこのように記憶を維持しようとする努力自体、無駄であることをよく分かっていた。{np} すべてが計画通りにいけば、自分は千年の懐かしさに苛まれ続けることはなくなるだろうし、必ずそうならなければならなかった。
ライマは深いため息を吐いてから手を上げて四方の壁に光で書いた伝言を残した。
それぞれ必要な者たちにしか見えない伝言が壁ごとに書かれ、次第にその光を失っていき、ついに普通の壁に戻った。それでここでやるべきこともすべて終わった。{np} 予知によると、彼女が姿をくらましてから初めてここに来る者は仲違いした姉妹、ギルティネだろう。
未練が残ってギルティネへの伝言も残した。彼女がこの部屋に入った時に見えるようにしたが、果たしてギルティネがその伝言を守ってくれるかどうかは…。
それでも未練が残り、そんなことを残した自分を慰めながらライマは自分の居所を出て千年の旅を始めた。
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